全国同胞に檄す

全国同胞に檄す

  1. 五・一五事件、二・二六事件等累次の重大非常事件は、主として政党を中心とする民主、民権、自由主義的国体無視の諸勢力を糾弾粉砕せんが為に起れるものである。されば是等政党(勿論無産諸党を含む)にして真に反省自粛の誠意あらば、当然その半面の責を負って恐懼解党して罪を天下に謝し、速に国内禍因の一掃に協力すべきであった。然るに今日に到るも之を敢てせず、現下の内外非常時局に際会して猶且つ厚顔無恥の態度を持し、自己保存の為に所有(ママ)詭弁技巧を弄して国民を誑惑し、以て、皇国の真姿たる皇道一和挙国一体の障害となり、皇国内をして極端なる対立相剋乱麻の如き状態に陥れつつあることは、明かに、皇民としての臣節を弁えざる所業である。
  2. 元来絶対大義の存在せざる民主国家に於ける挙国一致は、不動の核心鉄則なき為に結局国民相互間に於ける妥協苟合によるの外はない。これに反し皇国に於けるが如く、万古動かすべからざる大義の儼存する国に於いては、真の挙国一致は、順逆の妥協―公武合体状態に依って達成せらるべきものではない。必ず絶対大義の上に立つ日本主義思想に依てのみ億兆一心の実は挙げ得るのである。
  3. 国体は絶対である。従って、国体の本義に反する総ての事態の絶滅清算は、断じて民主的多数決又は衆論の帰結に待つべきものでなく、忠良なる臣子の皇運扶翼の努力と、皇国体を護る国家権力の発動に依て成し遂げらるべきものである。皇国議会の任務は民主国議会の権能と其本質を異にし、其範囲は著しく局限されたものであることを忘れてはならぬ。
    即ち大義の儼存せざる民主国家に於ける現状の打破は、常に革新勢力が議会の多数を占むる迄の時間を要するも、皇国に於いてはそれが思想、経済、政治万般に亘り国体の本義に悖る事象の絶滅清算に関する場合には前項の如く聊かも之を必要としない。是れ我が国独特の原則であり、皇国維新の大道である若し民主国に於て之に類する国権の行使ありとせば明かにファッショなるも、皇国に於ては之は単に大義を明かにするの行為にしか過ぎない。
  4. かるが故に、維新思想に基づく日本主義運動に於ては現在の非日本的政治諸結社の存在を肯定して、之れと相拮抗し、国民の審判を乞い、議会内勢力の優劣を争わんが為めに日本主義政党を結成せむ事を主眼とするものでは断じてない。即ち日本主義陣営より少数若干の議員を今日の如き議会に送るは、単に質を以て其範たらんことを欲するが故である。
    要するに日本主義陣営は飽く迄も非日本的政治諸結社の最も速かなる解体を要望する。而して斯かる非日本主義的諸勢力の清算に連れ、皇道の真諦に即し、之に替り得べき正しき翼賛勢力の全面的築成を以て其運動の根本目標とする。
  5. 既成諸政党(無産党を含む)は、その本質に於て明かに民主的であり、功利的であって、億兆一心、皇運扶翼の皇国の大義に悖り、朋党比周、党略擅私(ママ)の思想行動は、往年の幕府と同一範疇に属する反国体的存在である。民心の堕落、財政の行詰り、経済上の各種矛盾、一般生活の不安等は悉く斯かる非日本的勢力の存在に起因したる免るべからざる害悪である。然るに国家が今日まで斯かる勢力の存在を放置し、寧ろ助長し来れることは、国家権力すら是等凶逆勢力の制扼下に置かれたるが故に他ならない。既述の如く累次の非常事件は実に之に概して惹起せられた。然しながら内外の情勢は、最早や之を放置すべき場合ではない。若し彼等が飽く迄も頑迷に自己の存在を主張し、自発的に恐懼解党せざるに於ては、彼等の羈絆を脱せる国家権力は当然直ちに発動して、之を絶滅清算し、順逆を匡して速かに挙国一致の実を挙げしむべきものである。
  6. 林首相は、彼等の制肘を脱する為に先づ既成政党員の入閣を拒絶した。又今回は順逆を匡さんが為に敢然として議会解散を奏請した。もとより党略的政争とは異り之が為に与党を持つという考は全然無用である。是れ我が国独特の現象であって、之を民主国に於ける議会中心政治、政党政治思想を以て批判し、林内閣を攻撃するは、皇国体の特異性を認識せざる者の痴言である。
  7. 自薦立候補、野卑低劣の選挙運動、金力依存を強制する現行選挙制は瞭かに皇国の道義を破壊するものである。又各政党の地盤なるものは固定組織として功利情実的に、皇国民を常時分裂対立せしめ、其状態、さながら封建諸藩対立の如き観を呈し、明かに皇民一体の本義を紊り、其害毒真に恐るべきものがある。又民主国に於ける国民の選挙「権」思想を、皇国民に浸潤せしめたるは甚だしき非違にして、明かに、皇国体原理を無視せる民権思想の潜上不逞である。皇国に於ける選挙権は所謂権利に非ずして皇政翼賛の責務を全うする為め臣民の選挙資格を規定せるものに過ぎない。
    要するに斯くの如く其内容が徹頭徹尾我が国体の本義に副はざる現在の選挙形態は悉く既成政党者流の過去の罪悪的作為であって今回の選挙を最後として必ず徹底的に改廃せしめなければならむものである。
以上7項は、皇国体の本義に照し、何れも当然の理義であって、天皇機関説の信奉者か然らずんば私心を以て国事を弄ぶものに非ざる限り、必ず之に服すべきものであると確信する。然るに之を顧みずして、此非常時に於て尚お国内に熾烈なる順逆の対抗闘争を持続せしめつつある現況は何たることであろうか。極東の情勢は林首相みづからも既に言明しているが如く、皇国を中心として真に一触即発の危局に当面しているのである。斯かる情勢裡に於て、内を整えずして如何にして此難局を打開し得べきか。
先づ非日本的政治諸結社は速かに解体せよ。皇民一体の本義を紊る政党地盤は速かに之を解消せしめよ。而して夫れぞれの責任者は須らく謹慎せよ。斯くして日本主義の下に億兆一心、道義日本の再建に協力の誠意を示せ。苟も、皇謨翼賛を念とする同胞諸兄は、彼等をして速かに 斯くせしむべき説示勧告の義務ありと信ずる。然るに彼等が此勧告に従うことを敢えてせず、依然として従来の如き徒党的思想を基調とせる反国体的政争を此上継続せんとするならば、林内閣は断々乎として悉く之を解党せしめ、議会解散を奏請し、皇国体の本義に即する新選挙法を緊急制定し以て我が国独特の議会構成に向って邁進すべきである。若し林内閣にして之を敢えてせずとすれば明かに林内閣はみづから時局の認識を缺き、国体明徴の声明を裏切る者として直に糾弾されなければならぬ。
全国の忠良なる同胞諸君は此重大時局に際し、現下内外情勢に対する正しき認識に立脚し、皇民使命の重大性に覚證し、冀くば吾人と共にあらゆる障碍を排し、此救国、純忠の大道に協力邁進せられんことを。
敢て檄す
  昭和12年4月

大日本青年党
大日本生産党
国体擁護連合会
国民協会
愛国労働農民同志会
新日本国民同盟
純正維新共同青年隊
純正日本主義青年運動全国協議会

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